あきべえの、
(^-^)なコラム日記!'2000

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ダーラムの、世界遺産の守り方

<写真:新旧の共存も魅力のダーラム>

ご無沙汰しています。めーさんの両親が10日間、続いて僕の弟が10日間ダーラムに来ていたので、長い夏休みをもらってしまいました。

めーさんのお母さんは共産党県議会議員、お父さんはもと共産党市議会議員なので、普段は「休みをもらうなんて、応援してくれている人に申し訳ない」と言ってなかなか休暇を取りません。そんなご両親に、めーさんが“恵花の面倒を見る(おむつはずれの練習をする)”という大義名分を押し付けて、今回やっと来てもらうことになったわけです。たんぽぽのようなお母さんと、畑で野菜を作ることが趣味のお父さんです。

お母さんにとっては初めての海外旅行ということもあり、あきべえ一家の最大のおもてなしが出来るよう、いつになく張り切ってしまいました。まずは Rover の新車をレンタル。もちろんリモコン・ロック可、助手席エアバッグ付、(カセットプレーヤーはなく)CDプレーヤーしか付いていない高級車(!?)です。そしてロンドンの20以上のB&Bに電話して、高速道路と地下鉄の駅に近く、かつ家庭的な宿(3つ星一人3500円)を予約。しかも信頼性の高い天気予報(!?)を1週間先まで分析してスケジュールを綿密にねり、その日を迎えました。

***

<写真:イラン人の友人宅に招かれる>

いきなり到着時刻を間違い、空港に迎えに行くのに1時間ほど遅れてしまいましたが、感動の再開はばっちりビデオに撮り、まずはダーラム観光。さすがに視点が政治家で、ラウンドアバウトや道際に植わる花を見て「これは自治体がお金を出しているのか?日本だと“花に税金を使うぐらいなら福祉や教育にまわせ”という意見もでるだろうが、イギリスではそんなことはないのか?」というような質問が次からつぎへと出てくるので、たじたじ。そんななか、僕を一番困らせた発言は滞在3日目に出ました。

まずお父さんが「ダーラムは世界遺産があるほどの観光の街なのに、煙突のたたずまいや落ち着いた家並みを上手に残しているな。古き物を大切にする国民性かなぁ。」と切り出しました。

すると示し合わせたかのようにお母さん、「奈良の東大寺・春日大社・平城宮跡等も一昨年世界遺産に登録されたのは知ってるでしょう?実は今年はミレニウムという事で何かをしようという声が上がっていて、平城宮跡の地下に“和歌山-奈良-京都をつなぐ京和奈高速道路”なんてものを作ろうという案が出ているの。でもそれは『地下にまだあるかもしれない遺産を台無しにするって』言ってお母さん達は反対してるの。・・・そこで参考としてダーラム県庁の職員に“世界遺産をどのように保護しつつ都市開発をしているか”を聞きたいな。」

「そんな無茶な」と話をそらす僕・・・

なはずですが、ご両親の前で“いい格好”をしなければならない手前、澄ました顔でダーラム州庁観光課に電話。「日本からの政治家が県の政策について質問したいそうなのですが明日にでも会ってくれないでしょうか?」いきなりの申し出に向こうも驚いたようですが、ゆっくり事情を説明すると、数日後に1時間だけお話を聞かせてくれる事になりました。

***

<写真:ダーラム滞在を満喫して日本に帰るご両親>

それから数日・・・ロンドンを満喫して夜遅く帰ってきた次の朝9時半、おめかしをしていそいそ県庁に出向きました。

受付で担当者を呼び出すと、何十年もダーラムのために働いてきたというマネージャーが出迎えに来てくれ、すぐ横にある会議室へ。まずはお互いパンフレットの交換をしました(この会合が計画されていたかのように奈良のパンフレットを持って来ていたとは!)。続いてお母さんの質問、僕の通訳、担当者の答え、そしてお父さんが写真を撮り、トントン話は進んでいきました。

彼いわく「我々は世界遺産を守るため、政府のガイド・ラインを参考に注意深く開発に取り組んでいる。幸いにも大聖堂とお城は川に囲まれていて、すぐ近くでの開発は自然と回避されてきた。我々が特にしている事といえば“国民に世界遺産の重要性・独自性について教える”ことであり、あらゆる機会を見つけて広めている。毎年観光関係のマスコミを招待して統計やイベント情報などを提供している。その際、民間とのよき関係が重要だ。するとマスコミの電車賃は鉄道会社が、宿泊賃はホテルがみてくれるので、我々はビール代ぐらいしか払う必要がない。日本の皆様にもダーラムについて知っていただきたいと思っているが、残念ながら予算の都合上、国内に向けてのみ広告をしている。」とのこと。こうして、古いものと新しいものの共存について考えさせられた草の根外交は終わりました。

ところでこんな行動派のお母さんも、恵花に「おばあちゃん」と呼ばれるのに抵抗を感じるらしく、「みっちゃん」と呼ばせていました。(^-^)
 

あきべえ


◆めっせーじ◆
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◆追加情報◆
2000.09.19. 共産党の規約前文が削除され、「社会主義革命」などがなくなったそうです。自衛隊の活動を当面容認するなど、なかなか物腰が柔らかくなりましたね。

◆あきべえのお気に入り名言◆
人間は、「何になるか」を考える前に、まず「どのように生きるべきか」を考えるべきではないだろうか。「孤独のとなり」三浦綾子

◆人名・地名の紹介◆
あきべえ:在英8年。ダーラム大学院で物理の勉強中。クリスチャン。
めーさん:あきべえの妻。友達が明日にでも出産をするのでおちつかない。
恵花(あやか):もうすぐ2歳。まだおむつは外れていない。
ダーラム:イギリス北部の小さな大学街。世界遺産の大聖堂&お城あり。


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