ヨルダン派遣レポ−ト

世界の3分の1を理解する

97年度 ヨルダン派遣団員(航空機による派遣)


ヨルダン国王通いつけのモスク 私は、イギリスの、小さな大学町に住んでいます。こっちでできた友人の3人に1人はキリスト教徒、もしくはイスラム教徒です。ちなみに、これは世界人口(約57億人)に対するキリスト教徒(約14億人)とイスラム教徒(約7億人)の数と同じ割合です。私はこれら友人の"根元"を理解するために、宗教に興味を持ち初めました。アラブはキリスト教とイスラム教の発祥の地です。そこで今回は、友人の(心の)家を訪ねるつもりで、ヨルダンに行ってきました。

東京での事前研修中にヨルダン大学の学生と知り合いになりました。現地では、よく彼に大学に連れて行ってもらいました。彼の同級生も交え、大学の芝生に寝転びながら、"宗教"を語ったった時のことが忘れられません。目を輝かせながら、熱心にイスラム教のことを教えてくれました。その時、思い切って「キリスト教徒のことをどう思うか」と尋ねたところ、こんな返事が返ってきました。「イスラム教とキリスト教の根本的な違いは"イエスは神の子か人の子か"というところにある。私達は、イエスはもちろん、マホメットでさえ"神が遣わした使徒(つまり人間)"だと信じている。しかし、この様な違いこそあるが、彼等も私たちも同じ神を信仰していることを忘れてはならない。コーランがキリスト教徒(やユダヤ教徒)を"啓典の民"と記しているように、私たちも彼等の思想を尊重している」。この様な話で盛り上がっている時でも、モスクからコーランが聞こえてくると「ちょっと失礼」と言って横でお祈りをし始めたのが印象的でした。

モスクでお祈りする人々 この日、無理は承知で、彼等に「モスクでお祈りをしてみたい」と頼んでみました。はたして私のような非イスラム教徒が・・・これが許される行為なのかどうかはイスラム教の信者によっても意見が分かれるのではないでしょうか。彼等も2日間ほど真剣に悩んでいましたが、私が熱心だった(しつこかった)こともあってか、最終的にOKしてくれました。「たとえ他教徒でも、神は近づく者を遠ざけない」という理解をしたようです。これが正しいコーランの解釈なのかどうかは、無学な私には分かりませんでしたが、この"神"に対する真剣な態度には心打たれました。「私は自分の親に対してでさえ、これだけ"まっすぐ"になれるだろうか?」と、ちょっと考えさせられます。

彼等は、教典に書いてあることだけをうのみにするのではなく、"神がコーランを通じて本当は何を言っているのか"、を理解しようとしていました。彼等のキリスト教徒に対する理解も、私のわがままを聞いてくれたことも、このような姿勢があってこそだと思います。彼等のような人が、本当に宗教を理解している人だと私は思います。この"あるべき宗教家"、そして彼等を理解しようとする人"の数が増えることを心より祈っています。

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あきべえ

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